わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です(あらゆる透明な幽霊の複合体)

風景やみんなといつしよにせはしくせはしく明滅しながらいかにもたしかにともりつづける

因果交流電燈のひとつの青い照明です(ひかりはたもち その電燈は失はれ)

これらは二十二箇月の過去とかんずる方角から紙と鉱質インクをつらね(すべてわたくしと明滅しみんなが同時に感ずるもの)ここまでたもちつゞけられたかげとひかりのひとくさりづつそのとほりの心象スケツチです これらについて人や銀河や修羅や海胆は宇宙塵をたべ または空気や塩水を呼吸しながらそれぞれ新鮮な本体論もかんがへませうがそれらも畢竟こゝろのひとつの風物です

たゞたしかに記録されたこれらのけしきは記録されたそのとほりのこのけしきでそれが虚無ならば虚無自身がこのとほりである程度まではみんなに共通いたします

(すべてがわたくしの中のみんなであるやうにみんなのおのおののなかのすべてですから)

けれどもこれら新生代沖積世の巨大に明るい時間の集積のなかで正しくうつされた筈のこれらのことばがわづかその一点にも均しい明暗のうちに(あるいは修羅の十億年)すでにはやくもその組立や質を変じしかもわたくしも印刷者もそれを変らないとして感ずることは傾向としてはあり得ます